八王子城址から歩く修験道の道


2017年12月17日。八王子城址〜富士見台〜狐塚峠〜富士見台〜蛇滝口(千代田稲荷神社まで)

行くたびに深まる高尾山の魅力。

今月は毎週、法螺貝の練習をするために高尾山にお邪魔しています。

毎回落合から登り蛇滝口へ降りるパターンが続いていたので(それは法螺の練習場所を見つけたからなのですが、、、)今回はルートをまったく変えてみた。というか行きの電車の中で八王子城址方面の地図を見ていたら八王子神社が目に入り、八王子城址ルートに急遽決定。

実は近所でよくお参りにいく八杉神社という神社があるのですが、そこが地元で信仰されてる杉山神社と八王子神社を合祀した神社であり大変お世話になってるとこなのです(そこは境内に羽黒大明神や三島大明神も祀られています)

ただ行く前に若干悩みました。

なぜなら八王子城址は神霊スポットでも有名ですからね。そして実際に経験談ありなのです(汗)

大学時代は八王子だったため八王子城址もサークルの友人と行ったことがあったのですが、物の見事に霊障にあいました(苦笑)

皆で「嫌な感じがあった」と話している数日内にメンバーの楽器が壊れていくという怪奇現象。私もギターが倒れ買ったばかりのフルアコのピックガードが折れるという惨事に。

ましてや今では修行なんぞをしてるために余計に見えない人たちは群がってくるリスクが高い。。。ちょっと迷いつつも八王子神社は参拝したいと思い行くことを決断。

高尾駅北口からのバスで約10分の「霊園前」を降りて八王子城址を目指すと石材店や仏具店、お寺がずらりと並んでいる。霊園だからこういうお店が並んでいるわけでもないという感じがした。やはりここは信仰のお山っぽい。向こうにそびえ立つ山がそう感じさせた。

奥の一番高いのが城址跡だとは思いも寄らず、、、

出羽三山へ行った時の湯殿山もそうだったが、修験の山というのは独特の雰囲気が山から流れてくる。冷たい空気と腹底に響くような熱い力。

八王子城址の鳥居をくぐると一気に登りになって驚いた。まさかさっきそびえ立ってた山の頂上に城跡かあるのか、、、??と少し面食らってしまった。こんな山の上に城を作るとはかなりの労力。それくらい本格的な登り道になっている。

八王子神社手前で小高い法螺スポットを発見。廃虚と化した神社の境内。お榊がありお参りしてる方もいる様子だけど、どういう状況なのだろう?城址に神社が作られたのだろうか?八王子神社も延喜13年(913年)に山中を修行していた華厳菩薩妙行が牛頭天王と八人の王子と出会い、その三年後の916年に八王子権現を祀ったとされるわけなので、そもそも信仰のお山に城を作ったということになる。なかなか大胆な話だ。

そこから奥へ進むと八王子神社へ。質素な作りのお社でしたがとても清々しい。横の横地社の隣に天狗様が祀られており、修行のお山であることを伺わせる。ここら辺にも山を走り回っていた山伏天狗が昔から存在していたということですね。

牛頭天王と八王子様にご挨拶してさらに上へ行くと「ここがほんまる?」と思うほどこじんまりとした頂上にまたお社が。このお社も奥宮というわけでもなさそうで、おそらく本丸跡のお御霊を鎮めるために建てられたものなのかもしれない。神様のお山に城を作るとこういう不思議な作りになってしまうのだな。

そこからさらに奥へ進むと鬱蒼とした山林に。修行の匂いがする道だった。少し進むと切り立った崖に不思議な穴が。お供えをしてる人もいるらしいが昔から信仰されてるものなのだろうか?形的には信仰されそうな不思議な形をしている。箱形の神のような雰囲気。

そこからしばらくいき富士見台へ。そこには傘をかぶった富士山が。

そのまま蛇滝口へ降りようかと思ったけど時間に余裕がありそうなので狐塚峠まで行ってみることに。序盤に急激な登りと下りがありなかなかハードです。40分ほどかけて狐塚峠にたどり着いたけど、そこには小下沢ルートへの分岐以外は特に何もなくしぶしぶ富士見台へリターン。再び富士山を見るとあいにく雲に隠れてしまっていた。祝詞と法螺貝でご挨拶。

そのまま蛇滝口へ。ここからのルートがかなり道が分かりづらく不安になるのですが、何となく続く道を辿っていけば特に問題なくたどり着けるはずです。

ジャンクションに抜けると向こうに高尾山のリフト乗り場が見える。そしてその手前上空にはトンビが何匹も旋回している。高速がない昔はさぞかし素敵な里山風景だったんだろうな。しかし文明に侵食されつつも、そこには確かに自然が生き生きとしている。

この風景を見ながら私は2014年に訪れたチェルノブイリを思い出した。文明の利器による事故で廃虚と化したプリピャチ市。でもそこには青々と茂る森があり、生き物たちがいた。自分にとって高尾の圏央道とチェルノブイリはイコールに見えてくる。

文明による自然の破壊。便利さと引き換えに自然を破壊する。本当に必要なのかとつきつめれば不要なのかもしれない。しかしなってしまったことはもはや仕方がない。人間がしぶといように自然も生命力がある。甚大な被害を受けてしまった以上、その人知におよばない範囲は懺悔して祈るしかないように思う。祈るしかないが、考え方によってはまだ祈ることはできる。

都合のいい話かもしれないが昔から人々はそうしてきた。祈りによって難を逃れ生かされてきた。

高尾山とチェルノブイリがなぜ重なって見えるのか、なんでこんなことを考え始めたのか、その根底を帰りに探っていたら山形の祖父母の部落が浮かんできた。里山の麓にある部落。山の奥にはお不動様が祀られており、正月休みは雪道の中、祖父とお参りに行った。自分の山岳信仰の原点である。中学生の頃にこの里山にも高速が通ってしまった。いわば高尾山と同じで土手っ腹に穴を開けられたわけだ。ほんの数百メートルくらいではあるがやはり景観は変わるし、何よりそれ以降過疎化とともに山が弱っていくような感覚は否めない。山伏になると決めた時からいづれはここに祈りを入れたいと考えていた。

祖父の里山、チェルノブイリ、そして裏高尾。文明による自然の破壊でこの3つが繋がった。法螺貝の練習はなぜか私にこんなことを考えさせる。不思議なものだ。

さてさて終盤、高速沿をしばらく歩くと猿の軍団がわらわらとこちらに向かってきてかなり焦った。大きいボスらしき猿や2、3匹が法螺貝の音に気づいたのかむかってくる。囲まれたら何されるかわからないと思い法螺貝を低音で鳴らして撃退。なんとかその場をしのげた。

と思って猿を見上げながら高速を抜けようとしたら高架下のトンネルから今度はなぜか秋田犬がひょっこりあらわれ状況の変化に追いつけず一瞬フリーズする(笑)

果たしてこのワンコは散歩中なのか、それとも脱走してきたのか。そして人懐っこいのか、はたまた襲いかかってくるのか。猿の方へ逃げるべきなのか、、、猿と犬に挟まれて四面楚歌。

少し様子を見ていたら飼い主が現れホッとする。

「猿すごいでしょう。秋になったら突然降りてきてね。犬を連れてれば怖がって逃げていくけど、1人だとちょっと怖くて通りづらいですよね」

幅を利かせてる猿たちはもともとここがナワバリではなかったらしい。

高架下を抜けると裏高尾の農村風景が広がる。高速の下には知徳観音。大戦の被害者を供養しているとのこと。八王子城址近辺は戦絡みのスポットが本当に多いですね。

無事蛇滝口まで出て最後に千代田稲荷神社へ。無事に帰ってこれたご挨拶をして本日の行程は終了。今回は八王子城址から裏高尾にかけての修験の匂いを感じ取れたのが何よりの収穫。本当に祈りのお山です。

来週はボランティア仲間の方とそのお兄さんを連れてまた高尾山へ!!

高尾山の修験道探索はまだ続く。