師匠に「どこでもいいから海へ行きなさい。海だから海神様よね」と言われて、ふと頭に浮かんだのは三浦半島だった。場所的に近いのもあるけど、何度か神武寺の山を登ったことや、あの三浦半島の切り立った岸壁と周辺の神社仏閣などから修験の匂いを感じさせるものがあり、前から気になっていた場所だった。
「三浦半島はどうですかね?」ときいてみると先輩が
「そういえば昔みんなで行したことあるよ」と初めて聞く話が出てきて即話がまとまった。
はじめは単身で入るつもりだったが、ことの流れで先輩ひとりを巻き込んでいざ三浦半島へ。
1月26日、観音崎へ辿り着くと二人で行をする場所を探す。師匠が「岩屋の前で入りなさい」という情報をもとに場所を探す。
予想はしていたけどとにかく風が強くて冷たい。これはある意味滝行よりきつそうだ。海から出たあとに相当体温が奪われる。そんなことを考えながら身が引き締まった。
かなり奥まで歩いたがそれらしい場所は当初の祠の場所しか見当たらず、そこで行をすることに。
まず祠で拝む。説明書きにはかつて行基がここに住む大蛇を治めたとあったが、
どうもこの場所に修行僧の気配を何人か感じたので、九條錫杖経と般若心経をまずあげる。
そして向かいの海へ。
まず先輩に勧められて作った神籬を立て、それから拝んでそれぞれ場所を決めて入った。
ザブン。
底が見えないので恐る恐る足場の様子をみながら入ると、意外なほど温かかった。そしてこの海から世界へずっとひとつに繋がってる感覚が入ってきた。滝行とは全く違う感覚。世界はひとつなんだなぁ、と思い知らされた。
そして降神のような咆哮が自然と出てきた。
「オォォォォォォォォォー…オォォォォォォォー」
実は大寒以降この日までの一週間、ここの海神様を頭に描いていると頭の中でずっと聞こえていた咆哮だった。
咆哮が終わり迫り来る波の中で色々切っていると大きな波に飲み込まれた瞬間、大きな龍の顔が見えた。そしてこれまた大きな逆三角形。これは龍の鱗。これは間違いなくここの龍神だろう。大蛇はやっぱりいたんだなぁと感慨深いものがある。
※タンカーを眺めながらの行も乙なものです
行を終えて、強風に煽られながら、飛ばされそうな着替えを抱えてしばらく震えながら格闘していた。なんで風が避けられるところに荷物を置かなかったんだろう。。。
そしてひと段落したら、横須賀温泉へ。なかなか良いお湯だった。
さて、これでひと段落と思いきや帰宅してからとあることに気づき、この海行はさらにその先へ続いていくことに。。。