「山伏日記」カテゴリーアーカイブ

寒行⑤〜神籬から数珠へ

神籬をお祀りしてからお山の寒滝まで2週間。

寒いから大丈夫だとは思いつつ、ある日ふと「お山までもつかな?このまま神籬が枯れてしまったらこの観音崎のお御霊は一体どうなってしまうのだろう?」

そんなことがふと頭をよぎったわけですね。そしたら急に「棚の奥に数珠があるだろう」と言われてハッとした。

数年前にネパール訪問時に買った黒い数珠が棚の奥にしまいこんであるのを急に思い出して取り出してみた。

このお御霊、数珠のこともお見通し。

この数珠、当時はまだ自分には早いと思いつつ、師匠に取り上げられるのも嫌だったのでこっそり棚にしまって時がくるまで眠らせておいたもの。

そんなことすら忘れて眠り続けていた数珠がお御霊も入れず丁度空いていた。なんという奇遇。このためにこの数珠はあったのだろうか。

このお御霊、龍っぽいし、この黒い数珠も蛇っぽいし、なんかいいかも。

お御霊を自分で入れることはやったことがないので(というかまだ出来ない)全く期待できないが、勤行しながらお御霊に語りかけてみた。

「あの…もし宜しければこのお数珠に入って下さい。神籬枯れてしまっても困りますし…」

えいっ!

九字を何度か切ってみる。

再び数珠を確認してみると…どうもお御霊は数珠にも入った様子。ひとまず万が一神籬の榊が枯れても、数珠に入ってればお山へは連れていけるので一安心。

この日から寒滝までのしばらくの間、数珠を手にしながらお御霊と対話。もとが蛇だからか丸めて置いておくと、勤行中にヌルっと動く時があるのが面白い。

さぁ、寒滝まであと少し。

そして寒滝が終わるとそこから鍼灸の国試まで2週間。

怒涛の日々はまだ続く。

とにかく風邪をひかないようにだけ気をつける!!

寒行④〜神籬にお御霊が…

海行が終わり夕方に帰宅。

さて行で使ったお榊の神籬をどうしようかと思いながら、袋から取り出して手に持つと、

「ん?あれ、、、?」

朝持って行った時と感覚がちがう。この神籬、お御霊が入っちゃってるな。もしかしてあそこの海で見た龍なんだろうか。可能性としては一番高い、が、いまいちはっきりわからない。

師匠に連絡すると「来月の寒滝で山に返すから神棚でお祀りしておきなさい」

なんだか意外な展開になってしまった。

お御霊をいただこうとか全く考えていなかったが、こんなこともあるんだな。

ここからしばらく神棚の神籬のお御霊と対話する日々が続く。

ちなみにその夜、ネパールボランティア仲間との新年会がありダーツバーで初めてダーツを。序盤に罰ゲームでテキーラをショットで飲まさせられながら、そこから初めてにしてはなかなからしいスコアを出し続けて経験者から驚かれた。

集中力が半端ない自分には気付いていて、やはり行の力は凄いなと痛感したのでした。

寒行③〜半島へ海神を訪ねる

師匠に「どこでもいいから海へ行きなさい。海だから海神様よね」と言われて、ふと頭に浮かんだのは三浦半島だった。場所的に近いのもあるけど、何度か神武寺の山を登ったことや、あの三浦半島の切り立った岸壁と周辺の神社仏閣などから修験の匂いを感じさせるものがあり、前から気になっていた場所だった。

「三浦半島はどうですかね?」ときいてみると先輩が

「そういえば昔みんなで行したことあるよ」と初めて聞く話が出てきて即話がまとまった。

はじめは単身で入るつもりだったが、ことの流れで先輩ひとりを巻き込んでいざ三浦半島へ。

1月26日、観音崎へ辿り着くと二人で行をする場所を探す。師匠が「岩屋の前で入りなさい」という情報をもとに場所を探す。

予想はしていたけどとにかく風が強くて冷たい。これはある意味滝行よりきつそうだ。海から出たあとに相当体温が奪われる。そんなことを考えながら身が引き締まった。

かなり奥まで歩いたがそれらしい場所は当初の祠の場所しか見当たらず、そこで行をすることに。

まず祠で拝む。説明書きにはかつて行基がここに住む大蛇を治めたとあったが、

どうもこの場所に修行僧の気配を何人か感じたので、九條錫杖経と般若心経をまずあげる。

そして向かいの海へ。

まず先輩に勧められて作った神籬を立て、それから拝んでそれぞれ場所を決めて入った。

ザブン。

底が見えないので恐る恐る足場の様子をみながら入ると、意外なほど温かかった。そしてこの海から世界へずっとひとつに繋がってる感覚が入ってきた。滝行とは全く違う感覚。世界はひとつなんだなぁ、と思い知らされた。

そして降神のような咆哮が自然と出てきた。

「オォォォォォォォォォー…オォォォォォォォー」

実は大寒以降この日までの一週間、ここの海神様を頭に描いていると頭の中でずっと聞こえていた咆哮だった。

咆哮が終わり迫り来る波の中で色々切っていると大きな波に飲み込まれた瞬間、大きな龍の顔が見えた。そしてこれまた大きな逆三角形。これは龍の鱗。これは間違いなくここの龍神だろう。大蛇はやっぱりいたんだなぁと感慨深いものがある。

※タンカーを眺めながらの行も乙なものです

行を終えて、強風に煽られながら、飛ばされそうな着替えを抱えてしばらく震えながら格闘していた。なんで風が避けられるところに荷物を置かなかったんだろう。。。

そしてひと段落したら、横須賀温泉へ。なかなか良いお湯だった。

さて、これでひと段落と思いきや帰宅してからとあることに気づき、この海行はさらにその先へ続いていくことに。。。

寒行②〜蛇さん大集合その二

1月20日の大寒の日、師匠のもとへ伺うとなぜか先輩がすでに待ち構えていた。

「で、せんしは後ろに何を沢山連れてきたのかな?」

開口一番の先輩の言葉はズバリだった。この流れはやはり来て正解だったらしい。

「いやぁ、そうなんですよね。実は先週の合同修行のあと…」

状況を説明し終わり、師匠と先輩で協議が始まる。

師匠「あんたの後ろ、蛇がいっぱいいるのよね。んーあんたの蛇よね…」

先輩「さっき外でタバコ吸ってたら『蛇が来る』って言われたんだよ」

蛇、、、そういえばこの一年は法螺貝の練習で色々山へ行ったけど、何回も蛇に遭遇してたっけ。八海山でも行き帰りに遭遇、そのほか高尾山や飛龍山でも。神様のつかいだと喜んでいたけどほんとに付いてきちゃったんだな。

師匠「じゃ修行で拝んでみようか」

そして修行が始まる。

龍神祝詞から入ってのお不動様。先輩が後ろであげててくれるからいつもより自分の世界に入りやすかった。普段は出せない波動とリンクしてそのまま降りてきた。

師匠「あんた今年の寒行は海に行かないとだめみたいね。行ってきなさい。」

え!?そんな、、、今年の寒行は2月の寒滝がメインではないのか、、、?その前に海へ行って来いと?

どこぞの洞窟で食べ物をお供えしてもらいながらずっと篭り行をしていた蛇使いのご先祖様らしい。ところが白い蛇を育ててる途中で力尽きて死んでしまったらしい。その蛇を替わりに育てろと。

先輩「あたしがあんたの横に見たずんぐりむっくりな白い蛇、だから中途半端な形だったんだね(爆)」

師匠「あんたが育てなさい。あと後ろにうじゃうじゃ並んでいた蛇は神の蛇と仏の蛇でまとまってもらったから。」

いわゆる合祀で整理整頓されたってところだろうか。

ここ一年の集大成がいきなり寒行でドバッと出てくるとは、やはりわからないものです。

そんなこんなで平成最後の寒行はまずは海へ行くことになったわけだけど、ここから寒行は思わぬ展開へ続いていくことになる。。。

※これは2018年の秋、奥多摩の飛龍山だっかな