夫れすめるは天性濁るは地性
陰陽交りて萬物を生ず皆悉く佛性あり
この故に人倫を選び身佛となる
ここに八葉のうてなに大座し
二十八宿星を三界とす
行者謹んで敬い奉る
如何に火も焼くこと能わず
水も多々消すこと能わず
刀兵も勝つこと能わず
壽は百秋を保ち百壽秋を得て
頭には五智寶冠大日如来
髪は倶利伽羅大龍王
額は弥陀の三尊八幡大菩薩
両眼は日月
左の眼は日天子、右の眼は月天子、
耳は虚空蔵大菩薩
鼻は普賢大菩薩
口は薬師十ニ神
肝の臓は降三世夜叉明王
心の臓は軍荼利夜叉明王
肺の臓は大威徳夜叉明王
腎の臓は金剛夜叉明王
胃の臓は中央大日大聖不動明王
腹は文殊大菩薩
左の肩は観世音大菩薩
右の肩は勢至大菩薩
背筋は地蔵大菩薩
腰は身縁大菩薩
左の足は孔雀大明王
右の足は愛染大明王
総じて五臓六腑大骨小骨百がい百筋
氣血脈皮肉毛髪牙歯爪根に至る迄
八萬四千の毛穴全身を修め守護なし玉へば
諸々の荒魁飛行疫神呪詛神八大金神
指神友引悪霊悪鬼山海外道の属者は
神法不思議の加持力を納受して
慳貪邪見の心を開き
各々其の根元へ退去し宜しく神制を守るべし
重ねて句來戸を敗ることなかれ不動の式
ばんうんたらくきりくあくうんかんまんぼろん
と行ふ時は
砂子みぢん骨もさらさら流れ行く
血筋は切れて山は飛ど魂ばく魂しひ
地神の御門へ行ひ渡す
怨敵退散降伏一切大魔最勝成就
『石鉄経』より
