医療と行者


かつては修験僧などの行者は山を降りて里の人たちの医療面のサポートもしていました。

修験の経本にも五體加持病者加持文などお不動様の力をお借りして祈祷および手技を含めた療術を行なっていました。

いまではそういう行者さんは数少ないと言われています(我が師もそのひとりなのですが。もちろん現代においてはリラクゼーション的な位置付けとされてしまいますが、、、)

丁度国試の関係法規で、渡された教科書をパッとめくったらそこに関係する項目がいの一番に目に飛び込んできたので(毎度不思議なものです、笑)興味深く読んでしまいました。

いわゆる医業類似行為業者に対する取締り

警察犯処罰令

明治39年に旧医師法が制定され、同法において、免許を受けないで医業を行なってはならない旨が規定され(違反した場合は500円以下の罰金など)、また、明治41年の警察犯処罰令(明治41年内務省令第16号)の中には「病者ニ対シ禁厭、祈祷、符呪等ヲ為シ又ハ神符、神水等ヲ与ヘ医療ヲ妨ゲタル者」を30日未満の拘留又は20円未満の科料に処する旨の規定があったが、医師、歯科医師、あん摩師、はり師、きゅう師、柔道整復師など、法令をもって正式に資格を認められた者が、その範囲内で行う診療又は施術以外のいわゆる医業類似行為の発生を防止することは困難であった−

『関係法規』(第7版) 医療薬出版株式会社 より

まあこれは国試向けのテキストの内容ではあるのですが、ここに書かれてる「病者ニ対シ禁厭、祈祷、符呪等ヲ為シ又ハ神符、神水等ヲ与ヘ医療ヲ妨ゲタル者」を30日未満の拘留又は20円未満の科料に処する旨の規定があったが、このくだりをを読んで当時の神仏分離令→廃仏毀釈→修験道廃止令の流れを感じました。廃止令を出されても長年お世話になってきた行者に健康面の面倒をみてもらいたい方は沢山いたのでしょうね。

その後近代化が進み、日本も西洋医学が主流になりましたが

いまでは患者に触ることするらしない医師が増えてしまいました。

心身一如、心と身体は密接につながっており複雑な病気はトータルでのケアが必要になってきます。最近になってやっと日本の西洋医学も変わり始めていますが、局所的対処療法的な西洋医学と比べれば行者の加持祈祷を用いた療術のほうがよっぽど科学的だったんじやないかと思ってしまいます。

ここ最近は西洋と東洋、お互いの足りない部分を補い合うやり方が注目されています。

本当の意味での手当ては昔ながらの療術にその真髄が残されている。そんな気がします。